温故知新と言うこと

ボッテキアのSL-1…個人的に随分と思い入れもあった懐かしい車である。
僕が未だ高校生の時分、このフレームセットはアテナのヘッドパーツかなんかがついて販売され随分と高価な物だった様に記憶している。ボッテキアと言えばイタリアンスチールロードでもその性能は高く評価され日本でのファンも多かった。当然そのマシンにアッセンブルされるパーツもやはりカンパニョーロがデフォルトなのだが、やはり自分の中では、コレに組み付けるパーツは7400系デュラエース以外考えられなかったのだ。
そんな思い入れを抱いたままはや10数年、持ち込まれた修理の中にその理想型があった。修理内容はオーバーホール…保管状況も良く、経年変化で起こる金属表面のくすみ&チューブラの劣化以外は全くと言っていいほど完璧な状態だった。コロンバスSLで組まれるそのラグドフレームはあくまでもアナログなのだが極めてデジタルな感触、言うなれば非常に良くできた機械式クロノグラフのような「カチ」感とでも言おうか…

実際シマノ+ボッテキア+アンブロッシオの組み合わせは非常に剛性が高い、修理後の実走チェックでもその剛性感に一発で参ってしまった。当然このSL1は中級グレードのフレーム・この上にミニマックスやMSという超高剛性チューブセットアッセンブルを使ったフレームセットが存在しているのだから、当時の方法論においてこの作り方は正解なのだろう。撓まない=逃げないこの単純な論理を忠実なまでに再現、具現したこのメンタリティーに思わず感服した。

写真左・ところでもう一つ。この7400のデュアルコントロールレバーの出現もかなりインパクトのある物だった。その当時ツールを走るチームのマシンに燦然と付いていたこの7400系デュラエースのフルキットが従来の概念を根底から覆す物であったのは当時のプレスリリースや選手の注目度を見ても明らか。確かにレスポンスの良いブレーキシステムSLRやインデックス機構付きシフトSISも画期的であったが、やはりブレーキブラケット内に変速システムを内蔵させるこのデュアルコントロールの出現は今までのプラットフォームとは全く違った地点からの出発、開発であるわけだからそのインパクトも次元の違うものであることは自明の理だったのである。今となってはカンパも同様のシステム(当然シマノと同レベルまで達するのに5年を要したのは歴とした事実なのだが)でドライブしてることからシマノの先見性は凄かったのだなあと…再確認した。
写真右・ホイールは、アンブロッシオのモントレールデュレックス。当時からアンブロッシオのリムは高剛性だと言う認識があったが、練習用の位置付けになっているモントレールですらこの剛性、純レース様チューブラリム・ネムシスはパワー負けしないすさまじい剛性感を有していたのを思い出してしまった。現在のコンプリートホイール理論も間違ってはいないと思うのだが、良くできた手組ホイールの味を知ってしまうとなかなかに移行できないのも理解できる。アナクロとも取られがちだが、実際乗り比べてみると明確な安心感とパワーフィールの違いを体験出来る。

写真左・当然ながらレーシングコンポーネンツパーツだから、プロの要求する性能を満たしているのは当然なのだが、このクランク剛性という面では非常に素晴らしく、SL1にアッセンブルされている7402というクランクは随分と後までプロ選手の使用率の高い名品だった。正直言って、現行=7700系のデュラエースのクランクに比べて剛性面で遜色在るか?と聞かれたら返答に窮するくらいがっしりしている、僕自身も未だに使い続けている…(僕のマシンのメインパーツは7700系のデュラエース、クランクだけ7402というのが多少違和感がないわけでもない、でも剛性感が気に入っているのでOK)

写真右・ブレーキワイヤの内蔵&シートピラーの半涙滴形状。アルミ非円断面チューブ(エアロ形状)の製造技術が未熟だった当時ワイヤの内蔵及び、エアロフィンの取り付けが大抵のエアロと言われるフレームのセオリー、同社製のトライアルマシン(クロノストラーダ)には大仰なフィンの付いたスペシャルファニーバイクが存在した訳だからこのチクリ(工房)の技術の高さが伺い知れる。