
コルサ(CORSA)という概念

CORSA:コルサというのはイタリア語で「疾走」と言う意味だ。イタリアのパーツや車両を見ると至る所にこの言葉を見受けることが出来る。例えばカンパニョロの有名なレース用パーツキットはコルサレコードであったし、ヴィットリアのレース用タイヤはコルサ○Xである(最近CXに変わってKXも出てるので…)
人間という生き物が如何にこの「CORSA」という概念に捕らわれてきたか?この画像を見ると痛いほど感じる。
この構図にはこれと言った作為が有ったわけではないのだが、偶然OHと新規組み立てと言う形で作業場に2台が収まったので随分と長いこと画像データとして保存をして置いたのだが、これを見返す度にいつの時代も「速く力強く走る情熱」を持ったヒトに愛されたマシンは多少の姿形こそ変わっても本質の部分は何も変わらないなと思うのだ
左はメビウスのCr−moロード、移動のために通常のペダルと練習ホイールが付いているが本来はルックのクリップレス+マビックGP4のホイールセットが付くのだそうだ。
右はスコットが今年度発表したジャンドラツールTDFチームレプリカ、メインパーツは両者ともにデュラエース
どちらもその時代のフレームビルダー/メカニック、パーツメーカー、そして乗り手が「自らの手となり足となり疾駆する」モノを目指してより効率よく、より軽く、より早く乗り手を鼓舞するように遙か彼方に運ぶ、いわば「異次元の」産物であり続けるが為に切磋琢磨した機材であることは何ら代わりがない。世代の新旧を問わず感じる「魔力」は少なからずソレに関わった人々の努力の証なのである。
この両者の間には7400系と7700系のデュアルコントロールの年式から考えて12.3年という長い長い時間の隔たりが存在しその差は隠せない、しかしそれは「新しいモデルだから速い」とか「時代遅れだし速さがない」とか言うことを意味するのか?答えは否、その立ち姿に何ら衰えがないのをみれば色々理屈を並べるより理解を得るのが速いだろう
それはそのはずだ、ロードレーサーというモノはどちらもフレームが2個の車輪を支えるそれを駆動、制動するパーツが「本当に必要最低限の構成、重量」で装着されている、いわば非常に高いステージでバランスを取られた機械である。そう言った基本的な構成が何ら変わっていないのだから、その形が作る走りのイメージは新旧問わずスピード感、躍動感にあふれ、この上なく強く、面白いのだ。
この十年機材はめまぐるしい変化を遂げた、数年前までフレーム母材の主席であったスチールは、アルミ、チタンに代表される軽合金やカーボン樹脂にそのシェアを奪われ現在ではマイナーな素材になっていると言っても過言ではないだろう
その状況はまさに新素材戦争と言っていいほど、毎年多種多様な素材が登場し見る側を驚かせる。
20数年前、レースグレードのロードレーサーは人々が地道な努力を重ねた結果10kgを若干下回るレベルであった。当然すべての母材の主役はスチール、それから長い長い時間をかけて様々な素材・機構・構造が試されレースグレードの車は7kgを割り込み、それが当たり前のように市販されているというのが最早普通の世界になってしまった…単一素材から複合素材へ、適材適所的に様々な素材がマシンの各部に配され開発のベースも経験則に頼った部分から、デジタルな解析に移った。
ここまで来ると最早「異端」かもしれないが、そうさせているのは機材をより高いステージに上げようと言う、「情熱」に他ならないのだろう。
では、スチールの価値はオチたのか?それは違う、だた価値観の変遷があったに過ぎない。レースの一線にこそスチールの活躍する舞台は減ったが「ロードバイク」への母材チョイスとしてスチールが他の素材に引けを取る事は一切ナイ。
現在、スチール自体も合金技術の向上で新たな躍進を遂げている。温故知新という言葉があるがその通り、旧態然のモノをそのままにせず、長所を引き出し短所を摘み取る手法で進化を遂げる姿は、如何にスチールはポテンシャルを秘めている素材なのかを物語っている証拠だ。
現実としてプロ選手への供給としてカーボン+エアクラフトスチールのハイブリットバイクが出現している所を見ると、次のトレンドがどの母材なのかを予測するのは難しい、それだけ世界中のエンジニアが様々な組み合わせの中から「よりベストを」探していると言うことなのだろう。
新旧問わず「速く走るがため」に生まれ、関わるすべてのヒトやモノが情熱の結晶してこの場所にこの2台が「ある」ことに素直に感動する。大事なのは「より速くより的確により高い次元に」を求める気持ちなのであって、決して「より高価なより高級な」モノではないことをこの2台に教えられた気がする。
